ICL IPCL

ICL IPCLとは

ICL治療を検討されている方へ一番お伝えしたいことをまず記します。
ICL治療、この治療を考えられている方はご自身が近視の眼(近眼)であるということを忘れてはいけません。残念ながら近視の方は普通の目の方に比べ網膜剥離、緑内障、白内障の発症率が明らかに高いことがわかっています。白内障、緑内障については普通の方の3〜4倍、網膜剥離に至っては10倍以上といわれています。
そういった病気を発症した場合、ICLを抜去して手術を行わなければならないことが多くあります。ICLをスムーズに抜去するには挿入時に使用するようなICL専用のピンセットが必要です。網膜剥離は緊急手術が必要なことは多く知られていますが、ICLを抜去してから数日置いてでは間に合わないと考えたほうが良いです。ですが基本的に網膜剥離専門医がICLはを施行していて、専用器具も持ち合わせているようなことは残念ながら少ないです。こういったICLを施行したことがない医師が網膜剥離の手術を行えば対応が難しいこともありますし、そもそも自費診療で行っているICLが挿入されている時点で治療を断られる可能性もあります。似ている内容でLASIKでも白内障手術が断られることがあるという事を耳にした事もあるかと思います。網膜剥離手術において水晶体を残す技量のある医師であればICLを残したまま手術もできることもありますが、対応を心得ていないとそれ相応の炎症反応が出ます。逆にICL抜去のみをICL専門医が行ってからでは網膜剥離手術は到底に間に合いません。このジレンマをどのように解消するか、そういった時の道筋をしっかり担当医と解決してから手術を決める必要があると考えております。これは白内障、緑内障についても同じで、抜去するには角膜を切開する必要もあり、その後に違う医師が行う場合、同じ切開をたどれるレベルの医師であれば良いですが、なかなか難しいことでもあるので別の切開が必要になりますので、数箇所も切開することになれば乱視や角膜損傷もでやすくなります。ICLは自費診療ですので抜去することにも保険は効きません。ICLを施行した医師がこういった治療も行える医師であれば、抜去費用は無償で行うこともあるかもしれませんが、逆に全て自費診療になってしまう可能性ですらあります。ICLはとても良い手術です。しかし、ご自身が近眼であるということを忘れてはいけません。ではICL IPCLについて説明していきます。

ICL(Implantable Collamer Lens)とは、近視や遠視、乱視を矯正するために眼内に挿入するコンタクトレンズのことです。ICLを使う治療をICL治療やフェイキックIOL治療などといいます。
近視や乱視を矯正する視力矯正手術としてはレーシック手術ICL手術になります。中原眼科ではこの2つの手術をどちらも行っております。ICL手術は白内障の手術設備があれば施行することはできるので広く行われていますが、レーシック手術は、機器に非常に高額な費用が必要なため、大規模な眼科手術専門施設でなければ所有しておりません。ICL手術を行っている施設は全国で160施設ありますがそのうちでレーシック手術も行っているのは35施設しかありません(2024年6月時点)。どの施設も屈折矯正手術に精通している施設といえます。レーシック手術の場合は角膜を削りますし、ICL手術の場合は角膜に切開を加えますのでどちらも元通りにすることはできない手術であることを理解する必要があります。基本的にはそれ以上にメリットが大きいので手術を選択していくことになります。日本眼科学会が屈折矯正手術のガイドラインを定めており、軽度から中等度の近視(-6D以下)はレーシック手術が好ましく、強度の近視(-6D以上)はICL手術が適応とされています(ICLは-6D以下は適応外でしたが2019年2月のガイドライン改訂で-3D〜-6Dは適応外から慎重適応と規制は少しゆるくなりました)。このルールは近視矯正手術の専門家の先生方がアカデミックに定めたルールです。残念ながら日本ではこのルールを逸脱して、レーシック設備を所有していないために近視矯正にはICL手術しか行わないという施設も多く存在します。患者様自身は、コンタクトレンズなどの度数を参考に、前もってご自身がどの程度の近眼なのかを把握する必要があります。中原眼科では安全性を保つため、日本眼科学会が定めた屈折矯正手術ガイドラインに従い手術を行うこととしております。目の中レンズを挿入するICL手術と違い、角膜の表面のみをレーザー照射するレーシック手術は、眼科で最悪の合併症である眼内炎などの重篤な合併症の危険性がないため、当院では安全性がより高いと考えております。しかし角膜を削るレーシック手術では角膜の厚さの関係で強度近視は残念ながら矯正することができないためICL手術に軍配が上がります。院長はレーシック手術はもちろんICL手術も15年以上前から行っており、現在のholeICLという中心に穴が空いているものの前の世代から行っています。ICLを行っている多くの医師は現行のものからスタートしており、一部の医師は創世記から行っています。その当時に比べると白内障の発生率や虹彩切除の必要性がなくなったなど安全性はかなり増しました。皆様にご理解いただきたいことはレーシック手術とICL手術は共によい手術で安全性も高いですが、ご自身の目に合わせて選ぶ必要があり、ICL手術しか行っていないために、あたかもレーシック手術が元に戻せず危険だとミスリードしてICL手術を勧めるのは好ましいことではないと当院では考えており、どちらの手術も元に戻せるものではなく手術を受けられるのであれば双方の手術を理解して慎重に受けていただきたいと考えております。また他の矯正方法としてReLEx®︎smileという矯正方法があります。レーシックに比べフラップを作成するような切開が小さいためドライアイに有効とされています(多施設共同研究でレーシックでは非常に少ないですが1.8%の患者様にドライアイの治療が必要だったと報告されています)。有効な技術ですが現状では回旋補正がなく乱視矯正に不向きであったり、レーシックでは使用するエキシマレーザーに比べ矯正精度が低く、高次収差を矯正するなどのカスタム照射ができないため現状は当院では導入していませんが、将来的にはテクノロジーが進歩する可能性はあるのかもしれません。全てにおいて中立に判断したいというのが当院の考えです。当院ではこの内容についてしっかり説明してご納得さた場合にのみ手術を施行させていただいておりますのでご理解いただければと思います。
当院ではICLはSTAAR社の純正のものを使用しております。基本はこのレンズで行うことが良いと考えております。

また同じ構造のものでIPCLというものがありIPCLはEyeOL社の新しい後房型の有水晶体眼内レンズです。ICLでは従来治療できなかった老眼も治せるレンズがあることが特徴です。40歳以上であればこちらのレンズを使用することもあります。
老眼用のIPCL V2.0 はヨーロッパ CE マークを2017年に取得、通常のIPCLは 2014 年から使用されています。イギリス、ドイツ、スペイン、チェコ、韓国等、世界の 40 か国以上で販売され、10 万眼以上 に挿入されて、まず、2017年にヨーロッパにてCEマーク(安全性)を取得しており、全世界40カ国以上で10万件以上の実績があります。
老眼用のIPCLは回折型3焦点構造で近方加入度数は複数から選択できます。いずれも遠方に50%、近方に30%、中間に20%のエネルギーが配分されます。老眼用IPCLは中央部から周辺部にステップ高が低くなる特殊構造により、回折型であるにもかかわらず光エネルギーロスが8%でハログレアの発生が最小限に抑えられています。

個々のライフスタイルにあわせて優位眼(利き目)に単焦点IPCL(もしくは裸眼)、非優位眼にのみ多焦点IPCLを挿入するという選択肢もあります。

使用するレンズについて

ICLの素材はCollmerという新しい素材で、HEMA(hydroxyethyl methacrylate=水酸化エチルメタクリレート)という物質とコラーゲンを合わせたものです。HEMAはコンタクトレンズの素材となることの多い物質で、コラーゲンは人体に自然に存在するものです。そのため人体との親和性が非常に高く、眼の中に入れても異物として認識されにくいという優れた特長をもった物質です。

IPCLは親水性アクリルハイブリッドという素材で作られており、タンパク質などが付着しにくい表面加工も行われており、長期にわたり良好な視力を維持できるレンズです。

両者共に眼の中に長期間入れていても特別なメンテナンスをすることなく高い透明性を保ち続けるため、眼内レンズとして最適です。

ICL IPCLの特徴

強度の近視が矯正できる

ICL IPCLではどんなに度の強い矯正でもそれに対応するレンズを挿入するだけですので、幅広い層でクオリティの高い見え方を期待することができます。逆に視力検査で測定した近視や乱視の度数を挿入するだけですのでレーシックのようなカスタム照射や収差といった細かい歪みを取ることができないのが難点になります。ちなみにReLEx®︎smileという術式もカスタム照射はできないので注意が必要です。

長期的に安定した視力

強度近視にレーシックを行うと術後十数年経過すると近視が少し戻ってしまうことがあります。ただ、1.5の視力が0.8になるなどのレベルの低下で元のような近視に戻ることはまずありません。逆に50才前後で少し戻ってくれると老眼を感じづらくかえって良好に感じます。これに対し、ICLではレンズそのものを挿入するのでご自身の近視が進行しない限り近視は戻りません。長期間にわたって安定した視力を維持できます。裏を返せば視力をしっかり出した場合、老眼が40才あたりはじまりかなり感じてくるようになるといえます。

術後でも術前の状態に近づける

ICL IPCLで挿入したレンズは、特別な理由がない限り交換の必要はなく、そのまま目の中に入れておくことができます。一方で、何か不都合がおきたり、見え方が変わってしまったりしたときには、取りだしたり、レンズを交換することも可能です。ただその場合にも角膜に切開層は残ります。
近年、時代の流れに伴い白内障手術の患者様でICLやレーシックを受けられている患者様が増えてきました。レーシック手術後は測定機器の進歩によりずれもほぼなく、手術は通常の方と全く同じで問題はありませんがICLの場合は取り出すという作業のため虹彩からの炎症反応が若干でることが世の中では言われておりませんのであえて記しておきます。どちらも問題無く白内障手術はできます。

レーシックとICLどちらがいいの?

この二つを比較しているサイトでは全てといっていいほどICLを勧めていると思います。両方の手術を行なっている施設は全国にそう多くありませんがそのような大規模な眼科施設ではおそらくそういったことはなくないと思います。あくまでICLの集患をするために記載されているという印象を受けます。当院の考え方としてはどちらもメリットとデメリットがある手術であり、患者様の希望もありますがどちらかというとその方自身の近眼の度数によって決定すると思います。

手術の流れ

Step1適応検査

まずは眼内コンタクトレンズ(ICL)の治療が適応できるかどうか、眼の状態を判断するための適応検査を行います。ハードコンタクトレンズを使用している方は、4週間以上使用を中止した状態で来院してください。また、ワンデイタイプのソフトコンタクトレンズを使用されている方の場合、7日以上装用を中止した上で来院をお願いいたします。

Step2術前検査

適応検査と同日に手術が問題なく行えるかどうかを調べるため、手術前にいくつかの検査が必要になります。通常の眼科検査である視力、眼圧検査のほか、近視に関わる白内障、緑内障や網膜疾患がないかの眼科検査と角膜内皮検査、血液検査を行います。

Step3手術日まで

手術日までは特に制限はありません。手術日はレンズが届き次第すぐに行えます。通常の近視などのシンプルな度数では発注から1日で届くものもあります。感染予防のためにお渡しした点眼薬は手術の3日前から点眼を開始してください。

Step4手術日

受付後に眼科検査を行い手術を担当する院長が診察をさせていただきます。
手術は全例で笑気麻酔を行いリラックスしていただきます。2階の眼科手術専用クリーンルームで点眼麻酔をした後、角膜を3mmほど切開しレンズの挿入口をつくります。ICLレンズを挿入し、位置を調整し良ければ目薬で瞳孔を縮めて手術完了となります。 実際の手術の所要時間はおよそ2から3分程度です。瞳孔を開いた状態でICL手術は行われるため通常の顕微鏡では眩しさが強くで苦痛ですが、中原眼科ではARTEVO800の顕微鏡使用により眩しさを通常より8割程度減らすことができます。
術後、30分ぐらい安静にして問題がないようであれば、ご帰宅となります。

Step5定期検診

手術後は、翌日、1週間後、1か月後、3か月後と眼の状態に問題がないか検査するためにご来院いただく必要があります。その時には眼の状態だけでなく、見え方や患者さんの状態なども観察させていただき経過を判断します。
決められた来院日以外でも、何か気になることがありましたら、お気軽に担当医師までご相談ください。

ICLのデメリット

手術費用が高い
ICLはレンズが高額であり、また当院では他の近視に関わる疾患の眼科手術専門施設としての顕微鏡や設備を使用して院長が全例行います。当院は白内障、緑内障網膜硝子体、近視矯正の手術専門クリニックではであり美容外科やICL専門クリニックではありませんのでご理解いただければと思います。
手術までの待機期間がある
発注したレンズが到着次第、日程を決め手術を行います。早ければ検査1週間後に手術が可能です。
ハロー・グレア・光の輪
軽度ですがハローやグレアや光の輪がほぼ全例で生じます。ある報告ではレーシックより多いといわれていますが徐々に気にならなくなるといわれています。
ICL手術後、まれに追加治療が必要になることがある
ICL手術後にレンズの度数やサイズが合わない場合はレンズの入れ替え、乱視付きのICLでは手術後にレンズの乱視軸の合わせなおしが必要になることがあります。
術後のケアの大切さ
ICLは眼の中にレンズを入れる内眼手術です。非常にまれですが感染症を起こす可能性は6000件に1件と言われておりますので術後ケアを大切にしましょう

料金表

ICLは自費診療となります。

  税込(税抜)
乱視矯正なし 770,000円(700,000円)
乱視矯正あり 836,000円(760,000円)

上記の金額に、術後一か月の診療代、検査代、薬剤費なども含みます。

よくある質問

ICL治療を受ける制限はありますか

一般的なICL治療の適応対象としては、中程度以上の近視や乱視がある方、またはその両方がある方で、21歳以上で原則的には45歳以下の方となっています。

ただし、眼の状態は個々人で千差万別で、類型化しにくい部分もあります。そのため、ICLをご希望の患者さんには、まずは適応検査を受けていただいた後、さらに術前検査で詳細に眼の状態を確認します。

上記条件にあてはまっている方でも検査にてICL治療に不適応となる場合があります。

強度近視でなく軽い近視の場合でもICLを受けることは可能ですか?

ICLで挿入するレンズの適応対象はきめ細かく用意されていますので、強度近視から軽い近視の人まで対応が可能です。

以前にレーシックを受けているのですが、ICLを受けることはできますか?

以前にレーシック手術を受けて角膜が薄くなっていてもICLを挿入することが可能です。

手術中や終わってからの痛みが心配はなのですが?

もちろん個人差はありますが、手術は、点眼麻酔を行いますので、痛みを感じることはありません。また術後も痛みを感じることはありません。

手術後日が経つにつれて、ちょっとした違和感程度になりますのでご安心ください。

翌日から仕事を開始できますか?

どのような仕事かにもよりますが、翌日は仕事をお休みいただくようお勧めしています。デスクワークの場合は翌々日からは仕事可能になりますが、その他のお仕事の場合は医師とよくご相談ください。

術後に合併症や不具合などがおきることはありますか?

光をまぶしく感じる「グレア」や、にじんで感じる「ハロー」といった視覚異常を感じることがあります。一般的にはこうした現象も時間が経つにつれて治まっていきます。

また手術の数日前から感染症予防のお薬を点眼していただき、また術前・術中の消毒等にも万全を期していますが、ごく稀に感染症が起こることはあります。

ICL治療は健康保険で受けられますか?

ICL治療は健康保険適用外の自費診療となります。なお医療費控除の対象となっておりますので、領収書は大切に保管してください。

各種民間医療保険の適用対象かどうかは契約によります。「有水晶体眼内レンズ挿入術」が対象かどうかについては、ご契約の保険会社に直接ご確認ください。

ICL治療で老眼も同時に治すことが可能ですか?

ICLは近視や乱視などの屈折異常には対応しますが、老眼を治療することはできません。

眼内レンズを挿入することで老眼が進行することはありませんが、早い方では40歳ぐらいから老眼が始まります。そのためICLに適さないと診断されるケースもあります。

当院では、事前に詳細な眼の状態の検査を行い、適不適を診断し、患者さんに最適な視力矯正の手段を提案しております。

眼内コンタクトレンズをしていることは外見からわかりますか?

ICLは角膜と虹彩の間にレンズを挿入しますので、外見からはまったくわかりません。自然な状態で対応できますのでご安心ください。

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